監督: ニコ・ケイン
DVD、2006年、UPLINK
(2005年、GLAXSON)
ラスタという内省と祈り、ライフスタイル
日本でもレゲエファンを中心に、ラスタに関する様々な論議がなされている。
「ラスタカラーをファッションとして売り物にするのは不謹慎だ」というものから、「日本人はラスタになれない。ジャマイカ人の真似をしているだけだ」というものまで、みんなかなり真剣である。そこで単純に湧いてくる疑問。ラスタ、ラスタファリズムとは一体なんなのか。みんなはどんなイメージを、ラスタに対して抱いているのだろうか。
今日ご紹介する『ラスタファリアンズ』は、レゲエアーチストのインタビューを中心に構成された、ラスタを検証するドキュメンタリーである。ハイレ・セラシエやマーカス・ガーベイとは誰なのか。ラスタはなぜガンジャを吸うのか。アイタルフードとは何なのかを教えてくれると同時に、ラス・タファリ・マコネン(ハイレ・セラシエ)が生き神となるきっかけとなった聖書の引用や学者の見解が収録されている。レゲエ・アーチストがそれぞれに述べるラスタ観のバラエティーをとってみても、ラスタが宗教であると同時にこころの持ち方、ライフスタイルであることを顕著に物語っている。そういった意味で、他の一般的に流布しているラスタに関する情報とは一線を画したところが、この作品の優れたところである。このドキュメンタリーを見たからといって、ラスタの起源や思想が1から10までわかるということではない。しかしラスタというのは個々の人が持つ過去からのつながりと内省、未来へのビジョンであるということに重点を置いている点は、もっと評価されてもいいのではないだろうか。
個人的に、リー・ペリーが「レゲエとは、ポジティヴに正しい道を指し示すもの。それにしたがっていけば、正しい答えにたどりつく」と言っていたのが印象的だった。それは「レゲエ=ラスタ」というイメージを持たせたきっかけのヒントを含んでいるのかもしれない。レゲエの持つ力やメッセージに共感した人が見たアーチストが、たまたまラスタだったとしたら、レゲエのミュージシャンがラスタの伝導師と言われても自然なことであるし、ボブ・マーリィが「歌う司祭」と言われるのにもうなづける。
「ラスタって、ふつうの人にはとっつきにくい、盲目的な宗教でしょ?」という印象を持っている人にこそ見ていただきたい作品。宗教・非宗教を抜きにしても、スピリチュアルなメッセージとヴィジョンにあふれている。そしてそれは日本人のわたしたちが見ても、新しい指針や今を生きるための手がかりを与えてくれる。
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2006年10月24日 Mighty Mules' Bookstore