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  「trevor rhone's Smile Orange:
         The Jamaican Experience」

2004年 JET STAR、DVD 





ジャマイカのリゾートホテルで笑いながらステレオタイプを「演じる」

 「スマイル・オレンジ」はトレバー・ローンの脚本で1971年に上演された舞台劇。 '74年にはローンが自らメガホンをとってカール・ブラッドショー主演で映画化。 2004年にイギリスのジェットスターからDVDも発売された。



 「スマイル・オレンジ」に出てくるホテルのマネージャーはムラート(混血)で、外国人観光客には愛想よく従業員にはきびしい。 主人公のリンゴはウェイター。黒人の彼はあの手この手で外国人観光客からお金をまきあげようとしている。 そして電話受付のミス・ブランドンは Afro Chic 。 彼女の夢は適当なアメリカ人男性をみつけてアメリカに住むことだ。
 物語は実質観光客到着とともに始まる。 リゾートホテル、ムラートのマネージャー、黒人ウェイター、アフロ・チックの受付嬢という役割(ステレオタイプ)を、みなが「演じている」のがこの映画の面白さ。 ホテルは一見ばかげた余興を観光客に提供し、従業員は相手に応じて英語とパトワを使い分ける。 同様に本音と建前を使い分けながら、それぞれが欲するものを手に入れんと動き回るのだ。 黒人のウェイターは上司や白人客にこそ「サー!」と上品な物言いを欠かさないが、黒人客には冷たい。 外国人女性をカモにしようとするリンゴも外見で相手を選んでばかりはいられない。多少の難には目をつぶり、「スィートハート」と呼んでお金をモノにしようとする。 受付嬢のミス・ブランドンだって同じこと。どうせ永住権をとったあと捨てるのだから、とアメリカ人男性であれば誰でもいいようだ。 リンゴは言う、「何の演技もできない黒人は飢え死にするだけだ。」

 サービス業に欠かせないスマイルも、本音を隠して相手の期待に応える手段のひとつ。
「白人にいかさまをやらせりゃ黒人より上だぜ。だって俺らがどこでいかさまを覚えたと思う?白人からだろ?」
 「オレンジを食べると性的不能になる」という逸話を信じてならない田舎出の新人ウェイターに対し、リンゴたちは「それはオレンジを育ててるヤツが盗まれないようについた嘘だよ!」と言って無理矢理食べさせようとする。 それは笑顔の裏に隠された去勢された黒人男性のイメージを、「笑って受け入れろ! コトはそれからだ!」というたくましさの表れなのかもしれない。







参考: 「Old Stroy Time and Smile Orange」 
                               (1995、Trevor Rhone、Longman)
      「Yard Away From Yard: 映画『Smile Orange』のこと」
                               (鈴木慎一郎、「Strive」15号収録)


協力: 「レゲエ・トレイン」 鈴木慎一郎さま



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2005年8月3日 Mighty Mules' Bookstore
(2006年9月18日再掲載)

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