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Flash Forward 第一弾
     「シンコペーション ラティーノ/カリビアンの文化実践」
             編集者 エディマン原島氏より


 はじめまして。 エディマンという出版社を主宰している原島です。
このたび『シンコペーション ラティーノ/カリビアンの文化実践』を出版しました。 「シンコペーション」という語から音楽(とくにジャズ!)と思われる方も多いかもしれません。しかしここでは音楽そのものの意味をあらわしません。 「シンク(= sinc)」という語を連想していただきたいのですが、そこには同一性というニュアンスがあります。直接の引用源は本書の「序文」にもありますのでふれませんが、ここでいう「同一性=同時間性」とはたとえていうなら「ホールのケーキ」のようなものではなく、「カットされたケーキ」のようなもの。しかもそのひとつひとつがただ分断されているだけではなく、混ざり合う可能性をつねにもっているもの。こんなものをイメージしています。なんだ、そんなのあたりまえじゃないかと思われる方も多いと思います。あたりまえですよね。ただ、その場合「ホール」というのは決して地球のような球体ではないということを付言しておきます。ラティーノ、つまりラテンアメカからのU.Sへの移民たちやカリビアンを扱う。それもいわゆる「地域研究」としてではなく。これが今回の大きな問題でした。ここをどうやって語っていったらいいのだろう。あるいは日本の誰に向かって情報を出せばよいのだろう。もっというとラティーノやカリビアンのやっていることはどのような人々と共振するのだろうか。そういう思いが編集段階ではわたしのなかに、かなり強くありました。ケーキなら日本のどういう人たちのとなりにラティーノ/カリビアンのケーキがあるのだろうか。こういう問いです。これは、実はラテン/カリブを考えているだけで浮上してくる問題ではなくて、自分が「本」というメディアに関わっているから考えさせられた問題でもあるわけです。「本離れ」「読者不在」となっている状況。そうはなっても本が好きだという時代錯誤的な自分に脅迫的に迫ってくる「読者は誰なんだ」という問い。たんにラテン/カリブのことを知りたい、というのであればよい本はすでに多くあります。勉強しようと思えばそういう学部のある大学もあるし、教えてくれる研究者もいる。音楽ならばその由来だとか、美術ならばその作品のモチーフが生み出す問題構制だとか、社会のありようだとか、それはそれで知っておいてもよいようなことはたくさんある。一方で実際にレゲエをやっている人とかダンスやってる人とかもいる。その辺の格差 というか温度差みたいなもの「ホントはこうだぜ」みたいなノリと「実際のところ…」 みたいな語りの奪い合い。それはどちらもそうなんだろうけど、結局のところ状況を 説明することにしかならないのではないか。もっとシンプルにラティーノ/カリビア ンのやってることはいったい何なのだろう? という問いをこそぶつけてみたかった。 だからこそ、実践と論文の二段構成にしたわけです。もっともわたし自身、今回の本 ですべてをだせたという思いで満たされているわけではありません。次回以降の問題 も多く浮上してきました。
 最後に、この「Flash! Forward」の意味。どう解釈してくれてもよいのですが、いち おうの意味を説明しておくと「いつかみなれることになるもの」を編集していくシリー ズです。いまは奇異の目に晒されている事象と向きあいながら、それはいったい何な のかを、それなりにまじめに考えていきたいと思います。次回は「刺青=タトゥー」 でいきます。これが人間存在にとってどれだけ必要で、またそれらが現代社会とどう 接合されているのか。このへんに焦点を当ててやってみたいと思います。

2003年4月14日 エディマン主催 原島康晴
エディマンホームページ



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