そんな中7月25日のグリーナーに掲載された、セント・エリザベス、トレジャー・ビーチの観光開発について。
同地はマイティ・ミュールズでも再三にわたりカラバッシュ国際文学祭の開催地として取り上げてきたところだが、人気の割に観光開発には非常に慎重な場所でもある。
去年はスポーツ施設の建設を巡って小さな論争が沸き起こっていたが、今年のカラバッシュでトレジャー・ビーチを訪れた際、直接住民たちから意見を聞けたのは貴重な経験だった。 (参: 2003年10月6日、2003年10月10日オブザーバー)
結果からいうと、トレジャー・ビーチにスポーツ施設は建設される。
当初は外国人スポーツ選手(学生)の合宿所に使われる面ばかりがとりざたされていたが、スポーツ好きの住民が自由に利用できることを知り、反対派住民も徐々に納得してきたらしい。
この計画を進めているブレッズ(地元でも有名なブティック・ホテル ジェイクスの経営者で、映画「ハーダー・ゼイ・カム」の監督ペリー・ヘンゼルの息子 ジェイソンらが1998年に設立したコミュニティー・グループ)は
これまでにも小学校にコンピューター・ラボを建設したり、NYから医師を招いての医療応急処置訓練講座の開催、救急ユニットの結成、トライアスロンなどスポーツイベントの開催、低所得者のための住宅建設など多岐に渡ってコミュニティーに貢献している。
彼らのすることなので間違いはないと思うが、「でもやっぱり外国人が年中トレジャー・ビーチに出入りして、ネグリルやモベイ(ジャマイカを代表する観光地。観光業で有名になり潤った反面、観光客がらみの麻薬/売春などの問題を抱えている地域)のようになるのはイヤだ」というのが住民の素直な気持ち。
「ここにスポーツ施設が建つ予定なのよ」と指差されたところは、偶然わたしが文学祭中滞在していたゲストハウスの裏で、なんとも複雑な気持ちになった。
しかし観光開発について語るはずのトピックで、トレジャー・ビーチのスポーツ施設について触れたのには理由がある。
それはトレジャー・ビーチの開発のしかたが、観光開発とコミュニティー開発を同時に兼ね備えているよう思えるからだ。
これまでの観光開発と言えば、「リゾートホテルの建設」「お土産物屋やアトラクションの設置」などと外国人(観光客)中心に進められることが多かった。
しかし先のモンテゴベイの箇所で触れたように、そのような開発の仕方では住民の多くが観光開発の恩恵を受けられない。
これは単に観光業の生む経済効果だけでなく、地元住民の文化的、社会的、生活面でのメリットを指す。
一方トレジャービーチは、地元の人を第一に考えた観光開発を慎重に進めているという点で注目に値すると思うのだ。
スポーツ総合施設を例にとっても、海外の利用者から入る外貨・経済効果は当然あるが、ブレッズの計画どおり事が運べば、地元の人が娯楽施設に使えるという利点もある。
またその施設を他のイベントに使用することも可能だ。
毎年行われている文学祭もジェイクス主体に行っているものだが、イベントの特色ゆえ、訪れる観光客も派手なバカ騒ぎや非常識な行動をとって住民に迷惑をかけることが少なく、
外部からハスラーが多数流れ込むということも(今のところは)ない。
7月25日付グリーナーの記事で、ブレッズの代表でもあるジェイソン・ヘンゼルは次のように語っている。
―― エンターテイメントをコミュニティーの観光材料に使うのには賛成。
ただエンターテイメントの種類を慎重に選ばないと町の将来を左右する。
トレジャー・ビーチが目指しているのは、(観光客中心の)比重が低く、(地元への)影響が少ない開発。
時と供にイベント(アトラクション、エンターテイメント)の影響が浸透するような、自然なもの ――
(かっこ内はマイティ・ミュールズによる注釈)
つまり観光客のために輝きを増し、住民を墜落させるような開発は望んでいないことをはっきりと示している。
ジェイクスという有名ホテルを抱え、ヘンゼル家という強力なコネクションを持った彼が、トレジャー・ビーチの今・将来を大きく左右する力を持っていることは想像に難くない。
そんな彼が「訪問客が自分達の日常から離れるだけでなく、トレジャー・ビーチというコミュニティーの生活や開発の一部になる」というビジョンを語っているのは、心強い気がした。
今のところトレジャー・ビーチはカラバッシュ・フェスティバルの開催地として世界中のメディアから注目を集め、文学祭のよさだけでなく
町の魅力についても大きな絶賛を受けている。
是非観光地然していない町のよさを保ちながら、地元の人も喜んで参加できるイベントや施設作りに力を注いで欲しいと思う。
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